Cさんはこう振り返る。
「本当に幼稚園を運営する人たちとは思えぬ言動。平気で嘘をついたり、子供にひどいことを言ったり、他の園や保育園、塚本幼稚園に子を通わせる親の悪口を言ったり。わが子をこの幼稚園に通わせていた期間、そして辞めた後の数カ月、精神的に受けたダメージは小さくはないし、消えることはありません」
Dさんも副園長からの手紙を繰り返し受け取っている。そこには、Dさんの心を凍りつかせるような文字が並んでいた。
「パンツが生乾きで犬臭い。もっと清潔にしてほしい」「犬のにおいって臭いんですよ。鼻がまひしてます」
Dさんは、子どもの服や持ち物を室内に入れず、玄関のポーチに置くなどしたが、それでも「臭い」と指摘され続けた。通園バッグが臭いと勝手に捨てられ、遠足に持たせた弁当を、「犬の毛が入っていた」からと捨てられた。おもらしをしたとして、通園バッグに、便のついたパンツが、ビニールにも包まない状態でそのまま入っていたこともあった。その都度抗議をしてきたDさんに対し、副園長は手紙で決定的な通告をした。
「3月終業式をもって退園をお願いしたいと思います」
◆抗議文を公式HPに掲載
退園した保護者らは現在ブログを立ち上げ、園の実態を告発している。そこには、泣き寝入りを強いられてきた人たちが一人、二人と連絡を取ってくるという。
幼稚園が、「邪(よこしま)な考えをもった在日韓国人・支那人」などという文言を用い、元保護者らの動きをけん制していることは(上)にて前述したが、幼稚園の公式HPには、少し前まで「ネット上の誹謗中傷記事について」とする「抗議文」も掲示されていた。元保護者らのブログを指しているとみられ、「これらの内容は全くの事実無根であり、保護者間の教育活動を著しく害するものです。専門機関による調査の結果、投稿者らは、巧妙に潜り込んだK国、C人等の元不良保護者であることがわかりました」と断定していた。
元保護者らによれば、Kは韓国、Cは中国と実際の国名で掲示されていたものが、途中からイニシャルになったという。さらに現在では新しいバージョンの抗議文が掲載されている。「外国人の方に対して誤解を招く表現があったことをお詫びします」という一文が掲載されている。
ただ最後は「しかしながら、悪意ある批判に対しては、園として今後も断固とした姿勢は崩さない所存です」という強い言葉で結ばれている。
うずみ火では、園長に取材を申し込んだが、「けっこうです」と断られた。(おわり)
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