◆密告におびえて暮らす
ISはスパイ網を張り巡らせていましたから、密告で捕まった人も少なくないと思います。小さい子どももスパイとして使っていました。お小遣いをあげて、住民情報を集めるのです。そうやって強力な監視システムを構築していたのです。
そのため、近所の人とも自由に話すことはできませんでした。誰が密告するか分からなかったからです。そこからISに伝わって処罰されるかもしれないからです。私の向かいの家の人ですが、家の若者がISの悪口を言ったことが知られ、鞭打ち刑にされていました。それはISが支配して間もない頃だったのでまだよかったほうです。それから2年がたつと、処罰が厳しくなり、悪口だけで処刑される人もいました。私はイスラム教徒ですが、彼らの統治は時間が経つほど、宗教とかけ離れたものになっていき、処罰も厳罰化されました。力のない住民には、どうすることもできず、ただ耐えるしかできませんでした。(つづく)
(9終) IS去ったモスルのこれから(写真9枚)
(8) 当初、ISを受け入れたモスル住民も~「気づいたときは遅かった」(写真12枚)
(7) IS支配下での礼拝とモスク(写真8枚)
(6)「モスル解放」のなかであいつぐ報復(写真11枚)
(5) 衛星テレビ視聴禁止布告~住民統制強まる(写真14枚)
(4) 学校での洗脳恐れ、通学やめさせた家庭も(写真9枚)
(3) 宗教警察が社会統制(写真10枚)
(2)シーア派やキリスト教徒住民への迫害(写真7枚)
(1)たった数日間の戦闘で町のすべてを支配(写真7枚)
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