◆幼い女児が苦しみながら息絶えた
4月4日朝、シリア北西部イドリブ県ハーンシェイフンで空爆があり、100名以上が死傷した。現場の被害者には皮膚の変色や嘔吐などの症状が出ており、化学兵器が使用されたと見られ、神経ガス、サリンの疑いも出ている。空爆直後にハーンシェイフンに入り、取材を続けてきたシリア人記者、オマル・ナジダッド・ハジ・カドル氏(30)は、7日夜(日本時間)に現地で緊急電話インタビューに答えた。(玉本英子)
【関連写真動画を見る】2013年8月にダマスカス近郊で起きた化学兵器攻撃の被害者
◆化学爆弾はどのように投下されたのですか?
オマル記者: 空爆があった時、私は町の外にいました。住民たちによると、朝7時頃、ハーンシェイフンの北部地区で空爆があったとのことです。通常の空爆に続いて、化学爆弾が投下されたといいます。シリア政府軍が、スホーイ-22(Su-22)戦闘機で化学爆弾を落としたという、多くの住民の目撃証言があります。
◆被害者の状況は?
オマル記者: 私が町の病院に到着した時、現場は騒然としていました。多くの人びとが、呼吸困難や嘔吐で苦しみもがいていました。被害者の皮膚が黄色く変色していました。化学爆弾が使われたからだ、と皆、話していました。医師のひとりが女児の赤ちゃんを懸命に救おうとしていました。そばにいた父親は回復を信じていましたが、1時間後に赤ちゃんは息を引き取りました。たくさんの人びと、男性、女性、子どもたちが亡くなりました。化学爆弾投下から数時間後にも空爆があり、この病院も被害を受けました。
◆なぜ、この町で化学兵器攻撃があったのでしょうか?
オマル記者: ここは反体制派組織が支配する地域のひとつなのは確かですが、なぜこの町に化学兵器攻撃があったのか私には分かりません。他の国の空軍の標的になるような場所もありませんでした。
◆反体制組織が化学物質を貯蔵し、そこに爆弾が落ちたのではという報道も出ていますが?
オマル記者: 武器弾薬を貯蔵した格納庫や施設などもなかったのです。化学兵器攻撃が起きてから3日間、ずっと町にいましたが、武装グループが町を統制しているような姿も見ることはありませんでした。(つづく)
<シリア>米、ミサイル攻撃の根拠となった化学兵器使用の町~地元記者証言(2)へ>>>
【関連記事】
◆<シリア>「政府軍が化学兵器使用」と、地元目撃者は証言
◆〔シリア〕アサド政権の攻撃続く、ダマスカス近郊は今(1)~空爆と戦闘で市民生活困窮
◆〔シリア〕アサド政権の攻撃続く、ダマスカス近郊は今(2)~燃料、医薬品不足、国際支援も届かず