◆米軍が、シリア政府軍基地をミサイル攻撃したことについて、現地の住民たちの反応は?
オマル記者: アメリカという外国の軍がシリア領を空爆したことに不快感を示す人たちもいますが、住民の多くが、アサド政権の空軍基地に対するアメリカのミサイル攻撃を歓迎しています。なぜなら、あの軍事空港から飛び立った戦闘機が、化学兵器だけではなく、通常爆弾を使って、これまで何度も空爆を繰り返してきたからです。一連の事態についてですが、自分の国の軍隊が自国民を殺すのも、外国の軍がシリアを攻撃するのも悲しいことです。私たちはどうすることもできず、時間だけが過ぎ、多くの命が失われてきました。住民はそこまで追い込まれているのです。

集会には犠牲者の家族らも参加した。「化学兵器と、あなたたちの沈黙によって、子どもたちを2度も殺さないで」と書かれたプラカードを掲げ、国際社会へ訴えた。(4月7日シリア・イドリブ県ハーンシェイフン市内で。オマル・ナジャッド・ハジ・カドル撮影)

 

◆国際社会や日本へのメッセージは?
オマル記者:
化学兵器攻撃も今回が初めてではありません。それに対し、国際社会は何の手立てもたてなかった。助けてはくれなかった。人びとには無視され、見捨てられたという思いがあります。国際社会が化学兵器問題への声を上げてほしい。日本政府もこの問題に関心を注ぐよう呼びかけてほしい。シリア政府が「テロ組織壊滅作戦」の名のもとに、住民に対して行なっている残虐な行為を日本の人たちも知ってほしい。【玉本英子】

化学兵器が使用されたと見られるイドリブ県南部のハーンシェイフン。米軍が巡航ミサイルで攻撃したのはシリア軍戦闘機が爆撃の発着場とされるシャイラート基地(地図作成:アジアプレス)

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