北朝鮮で使われている日用消費物資の大部分は中国から輸入されている。それらは、中国人民元などの外貨で決済されて北朝鮮に搬入される。
それを卸す商人も、小売する人も、朝鮮ウォンではなく中国元で値付けし、売買したい。自国通貨は価値下落が続き信用が低いからだ。
2009年11月、北朝鮮当局は「貨幣交換(デノミネーション=通貨単位の切り下げ)」を突然実施。旧貨幣は使用できなくなり紙くずになった。朝鮮ウォンは暴落し、人々は必死になって外貨を求めた。
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焦った当局は外貨使用を厳禁し、悪質な者は死刑に処するという「布告文」まで発表した。しかし、生活防衛のために外貨に頼る住民を止めることはできず、「殺す」という脅しは効果を上げらことなく措置はうやむやになってしまった。
今、北朝鮮の事実上の基軸通貨になっているのはのは中国元、そして米ドル、ユーロである。党や軍の幹部から庶民まで、物の価値を測るモノサシとして頭に浮かべるのは、外貨になってしまった。(石丸次郎)
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