◆フセイン時代には戻りたくないが、治安だけは当時の方がまし

イラクの首都バグダッドの街中から、サダム・フセイン元大統領の「象徴」が完全に消えた。
米軍がバグダッドを制圧した2003年に引き倒されたフセイン像は、これまでずっと台座だけは、残っていたが、2016年暮れに完全撤去された。像があった広場は更地となり、今年中に新しい「広場」に生まれ変わるという。(綿井健陽・アジアプレス)

2003年米軍に引き倒されたサダム・フセイン大統領(当時)像の跡地は、像の台座も完全撤去されて更地となった(2017年1月9日撮影・綿井健陽)

米軍に引き倒されたサダム・フセイン元大統領像の台座だけは、過去13年間ずっと残されていた(2016年4月撮影・綿井健陽)。

もはや誰も見向きもしなくなって久しいあの像があった広場だが、近くで警戒にあたるイラク治安部隊の男性(30)は嘆いた。
「フセイン時代の政治体制には戻りたくないが、治安だけは当時の方がはるかにましだった。これほどまでに毎日のように、戦闘や爆弾で人が死ぬ時代が来るとは…。広場が新しくなっても、処刑されたフセインの呪いは残るだろう」
次のページ:イラク軍は昨年10月、過激派組織「イスラム国」...

★新着記事