ただ、私が言いたいのは、彼らも普通の人たちでした。靴屋さんや散髪屋さんもいました。小さな商店をしている人もいました。南部バスラから移住してきたスンニ派の家族もいました。バスラの住民はシーア派が多く、少数派のスンニ派が嫌がらせを受けていました。それから逃れるためにモスルへ移住し、ISに参加したのです。
彼らは、今のところ、元の家には戻ってきていません。
残念なことですが、解放された地区では今、ISに密告されたり、拷問を受けた地元住民による元IS関係者への復讐が始まっています。
昨日、私の地区で聞いたのは、ある青年が家から拉致され、次の日に遺体が見つかったということでした。青年はISで働いていました。
イラク軍が、この青年はISだ、として拘束したのに、1週間後、釈放したそうです。住民がなぜ釈放したのかと問うと、IS容疑者リストのデータベースに照合したが、リストには登録されていなかったということでした。たぶんISにちょっとだけ関わったような若い子たちは重要人物とはみなされず、リストには入っていなかったのでしょう。
同様の例がたくさん起きています。ISのために働いたり、協力した人物がいるのですが、名前がデータベースで照会できないからという理由で釈放されています。彼らから直接ひどい目にあってきた住民たちにとって、許せないことなのでしょう。だから自分たちで手を下したようです。
こういった復讐は、今後、西部地区の解放の後にもっと起きると思います。
ここでは様々な情報機関が活動していると思うので、今後何かの解決策が出されると思いますが、これまでともに暮らしてきた地元住民たちが殺しあう現実に、悲しい気持ちでいっぱいになります。(つづく)
(9終) IS去ったモスルのこれから(写真9枚)
(8) 当初、ISを受け入れたモスル住民も~「気づいたときは遅かった」(写真12枚)
(7) IS支配下での礼拝とモスク(写真8枚)
(6)「モスル解放」のなかであいつぐ報復(写真11枚)
(5) 衛星テレビ視聴禁止布告~住民統制強まる(写真14枚)
(4) 学校での洗脳恐れ、通学やめさせた家庭も(写真9枚)
(3) 宗教警察が社会統制(写真10枚)
(2)シーア派やキリスト教徒住民への迫害(写真7枚)
(1)たった数日間の戦闘で町のすべてを支配(写真7枚)
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