6月末から朝鮮人民軍の食事について調べたところ、栄養失調者が続出していて心配する兵士の親が、部隊に面会に行ったり送金したりする事例が増えていることが分かった。北朝鮮内部の複数の取材協力者が伝えた。国家の財政難を親たちが肩代わりさせられているのが実情のようだ。(カン・ジウォン)
6月後半から7月にかけて、アジアプレスでは朝鮮人民軍の食事事情についてあらためて調査をした。北部地域に住む取材協力者は、軍部隊の劣悪な食事は改善されていないとして、次のように伝えてきた。
「最近は軍隊に行っている息子・娘が栄養失調になって家に帰されるケースがとても多い。近隣の国境警備隊の兵士たちも弱っている。以前は中国との密輸に目をつぶることで賄賂をもらっていたのに、最近は統制が厳しくなって密輸が打撃を受け兵士たちの暮らしも厳しい。周辺の民家から食糧を借りて食べている部隊もあり、その返済ができず騒動になることもある」
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軍部隊の給食が酷い状態だと知れると、入隊している息子や娘の栄養状態を心配して、部隊まで面会に行く親が増えているという。前出の取材協力者は
「余裕のある家庭なら月に一度、余裕がなくても3か月に一度は部隊に面会に行こうとする。部隊の将校の自宅や近くの民家に米や『速度戦粉』を預ける。兵士たちは腹が減ったら部隊から外出した折にその家に寄って親からの差し入れを食べるのだ」
と述べた。
※速度戦粉 トウモロコシ粉を加熱したもので、水で練ると1、2分で餅のようになる。一種のインスタント食品。
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