(※2003年初出のアーカイブ記事。情報等は当時のまま)
◆再びアフガニスタンへ
世界の関心がまだアフガニスタンに向いていなかった2001年6月、イギリスのテレビ局チャンネル4は、アフガン女性たちの姿を描いた番組を放送した。
撮影が困難だったタリバン政権下で、イギリス生まれのアフガン人女性ジャーナリストが取材した番組は大きな反響をよび、日本でも「タリバン支配下の女性たち」としてNHKで放送された。
なかでも、カブールの競技場でプルカ姿の女性が公開銃殺刑にされる瞬間を隠し掘りした映像は、タリバンの実態を暴くスクープとして世界に衝撃をあたえた。
しかし番組を手がけたプロダクションのイギリス人プロデューサーは悔やんだ。
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処刑の映像が、同時多発テロ事件後のアメリカやイギリスで繰り返し放送されたことで、結果的に番組が米英軍によるアフガン空爆を支持する世論に与することになってしまったと彼は感じていたからだ。
夫殺しの罪で公開処刑された女性ザルミーナを取材し、日本のテレビで発表していた私に、そのプロデューサーから協力の依頼がきた。
もう一度アフガンをテーマに番組の続編をつくりたい、と話す彼の熱意に私は共感した。
現地取材をともにする番組ディレクターのカーラは、元BBCのアナウンサーをしていたアメリカ国籍の女性だ。彼女はこれまでチェチェンや北朝鮮をテーマにした番組をつくってきたが、アフガニスタンは今回がはじめてだという。
イギリスのカーラと、アジアプレスの坂本卓の3人で、取材チームをつくることになった。
2002年7月、私は再びカブールに入った。
アフガニスタンは強い日射しが照りつける夏を迎えていた。
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