次女の家族は、私たちが立ち入ることを拒み、次女と直接会うことはできなかった。
叔父とパシュトゥン語の話せる女性の通訳だけが家へ入ることを許された。
私たち、そして兵士たちは家から離れた場所に車を停め、しばらく待つことにした。
通訳によると家族たちは、よそ者がなぜ村に来たのか、早く帰れと、つめよってきた。
次女は、その家の第二夫人として嫁いでいた。
自分が死刑になった女の娘ということを夫に隠しており、両親のことは忘れたい、と語ったという。
通訳は母のことはそれ以上話さず、叔父のもとにいる弟妹たちは元気にしているよ、と告げると涙を流したということだった。
二人の娘の結婚を決めたのは叔父だった。
叔父はそれぞれの結婚相手の家族から十数万円の大金を手にしていた。
このため、ザルミーナ事件をセンセーショナルに記事にした英国のタブロイド新聞は、ザルミーナの娘は叔父に売られた、と、この処刑事件とその「顛末」を伝えた。
「タリバンの残酷な公開処刑、そして売られた娘たち」というような、遅れたアフガン社会を感じさせるような書き方に、私は強い違和感を覚えた。
私とともに行動したアメリカ人の女性ディレクター、カーラも、これは人身売買ではないか、と厳しい口調で私に主張していた。しかし、私は叔父だけを責めることはできないと感じていた。
叔父夫婦は自分の子どもたちを養うのに、ぎりぎりの生活をしていたにもかかわらず、ザルミーナの5人の子どもを引きとり育てていたからだ。(つづく)【玉本英子】
(14・最終回)裁判所で見つけた警察調書と顔写真 写真2枚
(13)娘の最後の日 写真3枚
(12)競技場での公開処刑 写真6枚
(11)カブールの売春婦たち 写真4枚
(10)女子刑務所で 写真5枚
(9)タリバンは巨大な悪なのか 写真4枚
(8)タリバン支持の村に暮らす次女 図と写真3枚
(7)長女が語った意外な言葉 写真4枚
(6)遺された子どもたち 写真6枚
(5)札びらを切る外国メディアの姿 写真4枚
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