(※2003年初出のアーカイブ記事。情報等は当時のまま)
◆7人の男たちを相手にして120万アフガニ(約4700 円)を得る
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ザルミーナを知る受刑者は刑務所にはいなかった。すべてすでに出所しているということだった。
刑務所でどのような思いだったのか。刑務官の話だけでは断片的な部分しか見えてこなかった。
ザルミーナが服役していた時期に刑務所にいた受刑者と、思わぬところで出会うことになった。
私が滞在していたカブール市内の民家では断水がつづき、シャワーに入ることができなかった。私は通訳の女性とハマムと呼ばれる公衆浴場に通うことにした。
いつも入り口の番台の横にすわりこんでタバコをくゆらせながら話をする、ひときわ派手な服装の女性たちがいた。
売春婦たちだった。
彼女たちは、仕事が終わった早朝に体を洗うために公衆浴場にやってくるのだ。
私は売春婦たちに声をかけ、ともに体を洗いながら、彼女たちの話に耳をかたむけることにした。
彼女たちの客の多くは軍高官、商人などアフガン社会の富裕層の男たちという。
売春婦たちはブルカをかぶって昼間の路上に立ち、客が車を停めるのを待つ。
ブルカの裾から見えるマニュキュアの赤い爪やヒールの高い靴、彼女たちのわずかなしぐさから、男たちは売春婦かどうかがわかるらしい。
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たいていはホテルか男たちが用意した部屋へ連れていから、男たちの前で踊りをおどってから、かれらの相手をする。
ひとりで数人の男の相手をすることも少なくないという。
避妊具が普及していないアフガニスタンで売春婦たちのほとんどは避妊をしていなかった。
妊娠すれば闇の医者にお金をわたして堕ろすか、子どもを産むかのどちらかだという。
病気は大丈夫なのかと私が心配すると、「終わったあとに、ここをお酒で洗うから大丈夫よ」とひとりが足をひろげて手で股を洗うしぐさをし、あっけらかんと笑った。
私はここでザルミーナと同じ刑務所にいたという売春婦に偶然出会った。
名前はマリアム(37)という。
パーマをかけた黒髪に、白い肌。そして真っ赤な口紅に、濃いアイライン。
豊満なからだにまとったフラメンコの踊り子のような赤いドレスがなまめかしい。
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