フセイン政権以後、クルド自治区はイラクの枠組みにとどまった。だが、シーア派が政府に強い影響力を行使し、その反発からISが台頭、イラクに戦火が広がる事態となると、自治区では「クルディスタン独立」へ向けた動きが一気に加速した。一方で、キルクークがクルド地域に編入されて独立すれば、クルド人以外の住民への締め付けが始まるのではないかとの不安の声も一部に出ている。住民投票に反対するトルクマン(トルコ系住民)と、クルド人の間で衝突がいくつか起きている。団体職員のアラム・フセインさん(36)は、「政治的な一部の人たちが起こしたことを全体としてとらえないでほしい」と言う。「自分はクルド人だが、トルクマンの友人も多いし、彼らの言葉も話せる。みんな安心して暮らしたい。それだけを願っている」。【玉本英子】
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