キルクーク市内の歩道橋に掲げられた住民投票を呼びかけるクルド語の横断幕。クルディスタンの旗が描かれている。投票前日、テロへの懸念から市内の人通りは少なかった。(キルクーク市内で9月24日撮影・玉本英子)

 

◆「イラク中央政府は信用できない」

9月25日、イラクからのクルド自治区独立を問う住民投票が自治区で行なわれた。クルド人だけでなく、自治区に暮らすアラブ人、キリスト教徒、トルコ系住民らが票を投じた。自治区に加え、クルド人が多数を占めるキルクークなどもあわせて300万人の投票有権者が参加。キルクークは、イラク中央政府とクルド自治区が管轄権を主張するが、現在、実質的には自治区の強い影響下にある。クルド自治区が独立すれば、クルド人の悲願といわれたクルディスタン独立が、現実味を帯びることとなる。投票日前日、キルクークで住民の声を聞いた。(キルクーク・玉本英子/アジアプレス)

投票前日の24日のキルクーク市内。商店の多くは閉まり、普段は車で渋滞するメイン通りもがらんとしている。投票反対の過激組織のテロを恐れた住民が外出を控えているという。クルド人が多く暮らすジョルゼ地区のスーパーマーケットには人だかりができていた。武装組織の爆弾テロを恐れ、家にこもるために食料の買いだめに来たのだという。
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10日分の食料を買い込んだという女性は「地区住民の多くは親戚のいるクルド自治区に一時避難している。テロが心配なうえ、住民投票に反対するイラク政府が、軍を使って武力で妨害するのではないかとの噂もあり怖い」と不安げな表情を見せた。投票については、「クルディスタン独立」に賛成だが、投票所に行くかどうかは治安状況を見てから決めたいと話した。
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