9月11日に国連安全保障理事会が原油と石油製品の北朝鮮輸出を制限する新しい制裁案を採択した後、北朝鮮国内の燃料価格の動向に注目が集まっている。アジアプレスでは9月18日と22日に北部の二都市で物価調査を行った。8月末に比べて燃料価格が上昇、核、ミサイル開発に執着する政府に不満声も出ているようだ。(カン・ジウォン)
北朝鮮内部の取材協力者が、9月18日に咸鏡北道会寧(フェリョン)市、22日に両江道恵山(ヘサン)市で主要物価を調査した。両都市の価格はほぼ同一であった。報告は次の通り。
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ガソリン:16250~18750= 約223~257円 (15000)
軽油:12500=約171円(8500)
白米:5400=約74円 (5300)
トウモロコシ:2700=約37円 (2600)
中国1元=1250=約17円 (1190)
価格はすべて1キロ当たりの北朝鮮ウォン。北朝鮮では油価もキロ単位で販売するのが一般的。( )内は8月29日の両江道の価格。ガソリン価格の幅は品質の差によるという。
8月末の調査と比べるとガソリンは約8~25%の上昇、軽油は約47%上昇したが、主食の白米とトウモロコシの価格には大きな変化はなかった。中国元との実勢交換レートは約5%のウォン安だった。これらの価格変動が制裁の影響なのか、現時点でははっきりしない。
会寧市で調査した協力者は
「油の値段が上昇しているため『サービ車』(商業的に運営されるトラックやバス)の運賃が少し上がったが、商売人たちもそれに合わせて商品の値段を上げているので大きな混乱は起きていない。数百ウォンくらい上下することはよくあるので、制裁によって物価が上がるのかどうかは、しばらく様子を見なければならないだろう」と述べた。
一方、核、ミサイル開発に執着する金正恩政権に対して、住民たちの間から不満の声が上がっているようだ。この取材協力者は「住民世論」を次のように語った。
「我われが貧しいのは米国のせいで、経済封鎖されてきたからだと政府は言うが、人民のことは考えず武器ばかり作っていると、住民からは反発の声が聞かれる」
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