◆爆弾製造に携わったチュニジア人
武装組織「イスラム国」(IS)が重要拠点にしてきたシリア・ラッカ。現在、クルド人とアラブ人の混合部隊であるシリア民主軍(SDF)が米軍の支援を受けながら、ISと激しい戦闘を繰り広げている。ラッカの最前線で取材を続けるクルド人記者ハイサム・ムスリム氏(30)は、SDFが拘束したIS戦闘員のインタビュー取材を行なった。8月下旬電話で話を聞いた。(聞き手・玉本英子・アジアプレス)
【ハイサム記者】
ラッカではISに外国人戦闘員が多数います。現在ラッカはSDFに完全包囲されているため、町に残ったIS戦闘員は逃れることはできません。彼らは死を覚悟し戦っていると思われますが、一部に避難民に交じって脱出をはかる者もいます。
今回、私が取材したのはチュニジア人で爆弾製造に関わっていた30代の戦闘員、アブ・クタイバ・アル・チュニジです。避難民と一緒にいた時、彼はひげも短く、ジーンズ姿で見た目はシリア人のようでしたが、個別尋問によって外国人だとわかり拘束されました。現在ラッカ郊外の刑務所にいますが、別場所に移動してのインタビューが許されました。
チュニジアでは医師だったということですが、ISの考えに共鳴した彼は、4年前にIS支配地域への移住を決めたということです。ラッカでの生活は恵まれていたようで、家なども与えられ、地元のシリア人女性と結婚し、子どももできたそうです。その後離婚し、再び別のシリア人女性と結婚したとのことでした。
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