内戦のシリアでは隣人関係も引き裂かれ、人びとがともに抱く「希望」なんてものはとっくに失われています。たとえ停戦して政治システムが機能することになっても、社会が機能するには何十年もかかるでしょう。
戦闘は続いていますし、アサド政権軍、ISやクルドの人民防衛隊、ヌスラ戦線やアハラール・シャムのような組織も武装して各地を割拠しています。彼らが容易に武装解除に応じるわけはありません。
アメリカもシリアに介入していますが、それはあくまでアメリカの利害のためです。私たちシリア人住民のことなんて後回しだということを私たちは知っています。
ヨーロッパでの移動中、セルビアにいたとき、英国BBCのリポーターにマイクを向けられたことがありました。私はこう答えました。「シリアは戦争のなかに戦争がある状態です。そんな絶望の中でどうやって幼い子どもと暮らし続けることができるでしょう」。今、シリアの人たちが求めているのは『自由』とかではありません。『安全』なのです。そこを分ってほしいのです。(つづく)
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