2016年夏、高江。ヘリパッド建設に反対する人たちを、機動隊が羽交い締めに(撮影・栗原佳子/新聞うずみ火)

◆琉球大名誉教授が現場を放射能測定~「健康影響を懸念」

米軍はヘリ残骸の周辺にテントを張り、出荷予定だった牧草地の上を車両で走り回っていた。牧草は牛や山羊の飼料用。30年あまり丹精して造り上げた土が育む牧草は、質がいいと評判だったが、ヘリ墜落により放射能汚染も懸念されている。(栗原佳子/新聞うずみ火)

米軍は事故機の一部に放射性物質が使用されていることを認めている。沖縄防衛局は暫定結果として「放射能は測定されなかった」としているが、この日、風下約300メートルの3カ所で計測した琉球大の矢ヶ崎克馬名誉教授はベータ線を計測したと発表した。「事故機体のストロンチウム90が飛散し、ベータ線を出していると考えられる」として「風下に住んでいる方の健康影響を懸念せざるを得ない」とも警鐘を鳴らした。

事故直後、消火作業にあたった消防隊員や地元消防団員はもちろん、駆けつけた役場職員、そして消火作業を見守った西銘さん。誰一人、放射能の危険性を米軍から知らされてはいなかった。

◆「最大の基地返還」の欺瞞

事故発生当日の夜、民放の党首討論に出演した安倍首相は司会者から事故に関連した質問を受けた。ヘリパッドが新たに高江集落を取り囲むように建設されたことについて「負担軽減なのか」と問われたのに対し、「昨年、北部訓練場が過半返還された。沖縄の本土復帰以来最大の基地返還」だとアピールした。

だが、本当にそうなのか。1996年、日米は北部訓練場の過半返還に合意した。しかし返還されるのは米軍がほとんど使用していない不要な土地。その引き換えとされた条件が、6カ所のヘリパッドを建設することだった。

高江は区の総意として2度、ヘリパッド建設反対決議。しかし、政府は07年、住民の反対を押し切り建設に着手する。住民の座り込み抗議行動がはじまったのはこのときからだ。
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