ピースおおさかの改装をめぐり大阪市を訴えた情報公開訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は一審判決を破棄し、男性の訴えを認める逆転判決を言い渡した。逆転勝訴の報告集会であいさつする連絡会のメンバー、竹本昇さん(66)。(9月撮影・栗原佳子/新聞うずみ火)

「ピースおおさか」訴訟逆転勝訴(1)>>

◆加害展示撤去がリニューアルの目的

9月24日、大阪市内で開かれた逆転勝訴報告会。代理人の大前治弁護士は「市が情報公開条例に違反していたこと、竹本さんがその違反によってとても心痛を感じたなど具体的な損害を受けたことを立証することで控訴審は勝利した。知る権利の具体化に資する判決だと思う」と意義を強調し、こう続けた。

「竹本さんに情報が隠されたことは全ての市民に情報が隠されたに等しい。72年前の戦争は『国民に真実を知らせないこと』を原動力として進められた。同じことを繰り返してはいけない」

原告の竹本さんは、「裁判の中で、松井氏と橋下氏の不当な干渉が暴露された」と具体例を列挙した。

例えば、ピースおおさかはもともと戦後65年に合わせリニューアルする計画があった。元専門職員の常本一さん(今年3月に死去)は意見書にこう記した。

”橋下氏が大阪市長となってからは、私を中心に部内でつくりつつあったピースおおさかのリニューアル案を突然一方的に中止させ、いわゆる加害展示の撤去というプランを押し付けてきた。その過程はまさに有無をいわさない、独裁的なものでした。”

被告側はリニューアル当時の館長や事務局長の陳述書を提出。そこには『加害展示が撤去されていたことに加え、各種団体からの意見、要望、要請のほとんどが反映されていないことが明らかになってしまう』などと書かれていた。

「非公開の本当の理由は、加害展示撤去がリニューアルの目的だということを市民に知られないためだった」と竹本さん。
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