ピースおおさかの中庭には大阪空襲の犠牲者の名が刻印された追悼の場「刻(とき)の庭」が。以前の姿を唯一とどめている。(撮影・栗原佳子/新聞うずみ火)

◆空襲特化した新施設

大阪空襲に特化した新「ピースおおさか」。だが、なぜ軍都である大阪が、8回の大空襲を含む50回以上もの空襲にさらされたのかという視点はとぼしい。

日本軍による重慶爆撃や大阪空襲で犠牲になった朝鮮人、中国人の存在、防空法や空襲被害者が戦後、援護の枠外に置き去りにされたことなどはほとんど触れられていない。

あらたに設置されたのは「体験型」の防空壕の模型。小学生なら10人前後入れる大型サイズで、中に入ると周囲が赤くなり振動も伝わる。しかし、実際の防空壕は簡素なものがほとんどで、多くの人々が蒸し焼きになったり、焼夷弾の直撃を受けたりして命を奪われた。ピースおおさかに長年助言してきた空襲体験者らは計画段階から「実態が伝わるのか」懸念していた。

控訴審で逆転敗訴した市は上告した。ピースおおさかに対する訴訟は11月16日に控訴審が始まり、府の控訴審は同月30日が判決期日。3つの裁判が同時並行的に進む。

竹本さんは「不当な干渉によってなされたピースおおさかのリニューアルは正当足りえない。大阪府、ピースおおさかの裁判も勝訴できるよう頑張り、設置理念に則ったピースおおさかを取り戻したい」と意気込んでいる。【栗原佳子/新聞うずみ火】

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