朝中国境の鴨緑江に近接する住宅や公共の建物の解体撤去が本格化している。北部両江道恵山(ヘサン)市に住む複数の取材協力者が伝えてきた。目的は住民を国境から遠ざけ脱北と中国からの情報流入を阻止するための「安全地帯」を作ることにあるという。(カン・ジウォン)
関連記事:<北朝鮮最新報告>鉄条網で閉じ込められた住民たち(写真4枚)
10月30日、恵山市に住む取材協力者A氏は、
「中国国境の沿線から50メートル内の家屋はすべて解体撤去してアパートを建設する作業が恵新洞(ヘシンドン)、恵河洞(ヘガンドン)で始まった。強制移住させられることになった住民は、人民班ごとに分担して他人の家に同居させたり、親戚の家に行かされたりしている」
と現地の状況を伝えた。
※恵新洞と恵河洞は恵山市の中心部に位置する。
同じ地域に住む取材協力者B氏も同日、
「知人に会いに行ったところ川沿いの住宅が撤去されていて探すのが大変だった」と伝えてきた。
解体撤去の対象となった地域には新しいアパートが建設されることになった。
「建設資材は国が出すが、実際の作業は『618突撃隊』と入居する住民たちが動員されることになった」
とA氏は言う。
※突撃隊は職場や学校などで選抜され、主に国の土木建設作業に従事させられる組織。3~5年間程度の服務後に労働党入党の推薦を受けられる。
国境に近接した住宅の解体撤去には二つの目的がある。一つは脱北と密輸など中国への不法越境の防止と、中国から情報流入を封鎖することだ。今回の鴨緑江沿線の住民の強制移住の計画は2014年に始まったものだ。
次のページ : 当時この地域では人民班会議が開かれ、「『党の方針』によって今後撤去が...
1 2