2017年1月に大阪府堺市と職員4人が大気汚染防止法(事前調査義務)違反の疑いで書類送検される原因となった市有施設におけるアスベスト含有煙突の違法解体問題。市が再発防止に取り組むなか、新たな不正が疑われる事態が発覚した。堺市の新たな疑惑を連載で追う。(アジアプレス/井部正之)
◆除去工事が不適正だった疑惑が浮上
「隠ぺいですよ。隠したとしか考えられない」
被害者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の前会長、古川和子さん(堺市在住)が言う。
2月15日、アスベスト対策条例の制定などを求める古川さんら「家族の会」堺対策チームが堺市と交渉した。その際、違法解体により現場に残されたままとなっていたアスベスト含有の煙突(高さ5.3メートル)について、2017年3~4月に改めて実施した除去工事が不適正だった疑惑が浮上したのだ。
きっかけは古川さんによる情報公開請求である。
アスベストの不適正工事問題に取り組むようになっていた古川さんは2017年12月19日、堺市が実施した3つのアスベスト除去工事の報告書を情報公開請求した。市から開示の連絡を受け、同27日に3つの報告書についてA4用紙で計67ページ(表紙含む)の複写を入手した。古川さんはこう明かす。
「正月明けに受け取った文書を見てみたら(1つの文書では)報告書の13ページ以降はページ番号がなくなっている。あと分析の顕微鏡写真があるだけ。堺市のホームページ(飛散事故の健康リスクを調べている懇話会の資料など)では現場写真もある。なんでこれだけ現場写真がないのか、またその後のページでは通し番号が打ってないのか不思議に感じた」
市に問い合わせたところ、担当課の建築課から「打ち合わせ段階では(現場写真も)あったが、報告書には入ってない。役所にないから開示できない」との回答だった。
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