市と職員4人が書類送検された市有施設の違法工事をめぐり大阪府堺市が揺れている。市が再発防止に取り組むなか、2017年3~4月に実施した、その現場を片付けるためのアスベスト除去工事が不適正だったとの疑惑が浮上。堺市の新たな疑惑を追う連載2回目。(アジアプレス/井部正之)
◆削除された取り残し記録
2月15日の堺市と中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会堺対策チームらとの交渉のようす。ほとんど市職員に取り囲まれた状態(井部正之撮影)
2月15日、被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の前会長で堺市在住の古川和子さんら「家族の会」堺対策チームはアスベスト対策条例の制定などを求め、大阪府堺市と交渉を持った。
その席で古川さんらは堺市が煙突のアスベスト除去工事で取り残しがあるにもかかわらず、工事を完了したことを隠ぺいしたのではないかとの疑惑について追及した。
筆者は交渉に同席して、その一部始終をみてきた。そこでどのようなことが明らかになったのかお伝えする。
古川さんが実施した情報公開請求で開示された3つの報告書では作業後にも煙突内にアスベストの取り残しがあることを示す現場写真など計34ページが欠けていた。
市の仲介で施工業者からの提供という形で欠損した部分を入手したところ、煙突のアスベスト除去工事で一部を取り切れないまま、工事が完了していることが証拠写真とともに記載されていた。
市が保有する報告書では存在しないというアスベストの取り残し記録だが、じつは施工業者との打ち合わせ段階では存在していたことを市は認めている。それがなぜ市に提出された報告書では削除されたのか。
堺市建築課は「一度仮に提出していただいて、中身を確認させていただいて報告書として必要ないものは外すよう指示した」と説明した。ただ「どれを外せと指示はしない」(同課)とも釈明した。
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