◆第三者による適正な完了検査必要
交渉に参加したNGO、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史事務局長は市の対応をこう批判する。
「煙突内にアスベストの取り残しがある以上、本来なら工事が終わっていない状況にある。その都合の悪い部分は報告書から市の指導で削除されている。これは隠ぺいと取られても仕方がない。
いまの状態もアスベストが残った状態なのだから、厳密にいえば、飛散のおそれがある。現状が安全なのかどうかをもう一度きちんと調べ直す必要があるのではないか。
もう1つは、これほど問題になった市の発注工事で除去前にも問題が指摘されたにもかかわらず、その後の工事も不完全で情報が隠された。現状では市が反省してアスベスト対策に取り組んでいるとは思えない」
20年来アスベストの不適正工事問題を指摘し続けている永倉氏はこうも続けた。
「堺市は違法工事をしてしまった現場で再び失敗した。つまり、二重で失敗工事をやってしまったことになる。きわめてお粗末な話だし、こういうことがあるからアスベストの取り残しがないことを確認する第三者による完了検査が非常に重要といえます。
(同じく市内の)府立金岡高校も同じです。夏休みにアスベスト除去工事があったが、きちんと第三者による完了検査がされず、安全確認がされなかったため、冬休みになって校舎内で空気中や廊下などでアスベストが見つかったりした。
こうした事例からは第三者による完了検査の仕組みをつくってきちんとおこなう重要性がはっきりわかる。今回のような事例はほかでも十分起こりうるし、実態としては同じような事案が相当見逃されているのではないか」
堺市の場合、分析機関から指摘があったにもかかわらず、市側がその事実を隠そうとしたのだからタチが悪い。
さらには堺市のアスベスト問題の原点である現場で周辺にアスベストが散乱しているというのに、清掃が1か月も後という危機感のなさ。やはり書類送検までされた前回の事件がきちんと教訓化されていないとしか考えられない。
今回の問題を機に改めて一連のアスベスト不正について、第三者による行政対応の検証をすべきではないか。(続きを読む>>>)
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