(参考写真)川向こうに見えるのが両江道恵山(ヘサン)市。制裁で輸出が止まった銅山がある。間を流れるのは鴨緑江。2010年6月中国側から撮影(アジアプレス)

◆制裁は3月に緩和? 当局が根拠なき宣伝

ところが北朝鮮国内では、制裁が緩和されるという話が広がっているという。22日、北部両江道の取材協力者の女性に、その内容と根拠を尋ねると、当局が住民向けの宣伝に力を入れているとして、次のよう述べた。

「女性同盟の会議で、『(平昌五輪で)南朝鮮に応援団が行き、会談までしたので、経済封鎖を受けているが、もう少しすれば我われの勝利で終わる』という講演をした。また、市の宣伝部の人が(地域を)回って情勢講演をしており、『制裁はすぐに緩まる。3月から油の値段も下がる』と説明をしている」

この女性は、当局の説明をそのまま受け取る人はいないだろうと付け加えた。

両江道の別の取材協力者も次のように伝えてきた。

「恵山(ヘサン)の銅鉱山は中国の合弁先が事業を昨年9月に中断した。今、新たな合弁相手を見つけるために鉱山の人間が中国と行き来しているので、3月になったら合弁事業を再開できるだろうと説明している」

だが、合弁事業の停止は中国政府が国連安保理決議に基づいて決定したもので、再開するかどうかは安保理の判断に基づく。

このように、当局による「制裁緩和近し」という説明は、昨年から度々なされてきた。咸鏡北道の茂山(ムサン)鉄鉱山でも、制裁によって中国への輸出が止まった後、労働者に対し「間もなく輸出が再開される」という説明が繰り返されていた。中国の税関統計では、北朝鮮からの鉄鉱石輸入はゼロのままである。

金正恩政権が流布している「我われの勝利」や「制裁緩和」には根拠がない。制裁による経済悪化と民心の動揺を政権が心配していることの証左ではないだろうか。

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