書類送検されるきっかけとなった煙突のアスベスト除去をめぐり、取り残しが存在するとの指摘された大阪府堺市。連載4回目の今回は2月26日の再交渉で市はどのような回答をしたのかを明らかにする。(井部正之)
◆市は除去残しを否定
「一体、何をいってくるんだろ」
2月26日の堺市との再交渉直前、そう笑っていた被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会前会長の古川和子さん(堺市在住)。だが、その表情は話し合いが始まると曇り、終わった後には厳しいものになっていた。
「説明が変わった。2月15日(の交渉)では取り残しを認めたのに、今回は認めてないと翻した」
交渉後、古川さんは納得がいかないという表情で話した。
2016年6月堺市の北部地域整備事務所でおこなわれた改修工事で、煙突にアスベストの1つで発がん性の高いアモサイト(茶石綿)が70~80%という高濃度で含まれる断熱材が使用されていたのに、適正な対策なしに解体した。その結果、アスベストが周辺に飛散し、住民らが吸い込んだ可能性が高い。
この違法工事によって、市と職員4人は大阪府警に書類送検されることになった(2017年3月不起訴処分)。
前回まで3回の記事で、古川さんの情報公開をきっかけに、2017年3~4月前年の違法工事現場を片付ける除去工事でもじつは煙突内のアスベストを残したまま終了していたとの疑惑が発覚し、市建築課の担当者が取り残しの存在を認めたと報じた。
だが、2月26日大きく状況が変わった。市は改めて「取り残しはない」と主張した。
まず市建築監理課は2017年4月11日に指摘された煙突内のアスベストの取り残しについての対応状況をこう説明した。
「(4月12日)元請け業者、アスベスト専門業者、堺市で分析機関から指摘があったところを確認したんですけど、除去残しというよりも、全体がアスベストの飛散防止剤で塗布された状態。一部ここに残っているという感じのアドバイスをいただいて、我々は目視(で取り残しを)確認できなかったんですけど、アスベスト除去業者さんがみても、完全に残っていることが正直確認ができなかった。しかし、(それまで様々な助言をもらった)経験上ね、残っているとの見識が測定業者にあるので、1回掃除しようということで、煙突の上から下まで清掃した」
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