◆「取り残しの手本」と専門家
にもかかわらず、こと細かに問題点を指摘し続けた。
あるいは本当に取り残しはないのかもしれない。
しかし、アスベストの取り残しがないほうが利益になる元請け業者や除去業者の主張とそんな報告をしても何の得にもならない分析機関の指摘の持つ意味にもっと考える必要があるのではないか。
2月26日の被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会前会長で堺市在住の古川和子さんら堺対策チームとの再交渉で市が4月12日の再作業が適正だったことを示す報告写真が掲載された資料を出してきた。この資料に掲載された再作業後の現場写真でもアスベストの取り残しと見られるものが写っているという。
冒頭で紹介した専門業者は「(写真の)右側に(アスベストが)残ってる感じがする。飛散防止剤塗ったんだからいいだろうというかもしれませんが、おそらく残っている」と指摘していた。
専門業者の感想はあくまで写真を見ただけに過ぎず、むろん実際に現場を見てみなければ、きちんとした検証はできない。
被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会堺対策チームとの交渉では拒否し続けた煙突内の再調査について、3月5日の市議会本会議で一転し、市は実施を約束した。第三者による適正な再調査が実施されることを期待したい。
最後に別のアスベスト調査の専門家が写真を見た感想だけ紹介しておく。
「きれいに螺旋状に残っていて、(煙突におけるアスベストの)取り残しの手本みたいだ」
(つづく)
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