2016年6月の違法解体工事に続いて、その現場の後片付け工事でアスベストの取り残しを指摘する報告書の改ざんが発覚。煙突のアスベスト問題で揺れる堺市でさらに新たな疑惑が……。(アジアプレス/井部正之)
◆4つのアスベスト作業を実施
煙突のアスベストをめぐって揺れる大阪府堺市で、なんと2017年1月に大阪府警に書類送検されることになったのと同じ「無届け工事」の疑惑が判明したのだ。
堺市は2016年6月に起きた北部地域整備事務所における違法工事の現場を片づけるためのアスベスト除去工事を2017年3~4月に実施した。
この「後片付け」工事ではおおよそ以下の4つのアスベスト作業が位置づけられている。
(1)機械室棟室内のアスベスト除去(2017年3月2日~同8日)
(2)煙突残存部の解体時のアスベスト飛散実験(同3月12日)
(3)煙突内部のアスベスト除去(同3月19日)
(4)外壁改修、屋上防水改修に伴うアスベスト除去(同3月27日以降)
このうち(3)の煙突内のアスベスト除去工事後に取り残しが指摘され、この間問題になってきた。じつは「無届け」問題もこの取り残し疑惑に関係している。
市建築課によれば、煙突のアスベスト除去そのものは2017年3月19日だけで終えた。
前回の「<アスベスト問題>堺市煙突は「取り残しの手本」調査の専門家が指摘」(3月15日、アジアプレス・ネットワーク掲載)で紹介したように、市建築課によると、2017年3月22日および同23日、もしくは同3月24日および同28日のいずれかの2日間に市職員と元請け業者が除去工事が適正に完了したことを確認した(なお、完了検査の実施日については課内で説明が割れている)。
ところが、同4月11日、現場における空気中のアスベスト濃度測定を実施した分析機関が煙突内を調べ、取り残しを指摘した。
知らせを受けた市建築課は翌12日、元請け業者と下請けのアスベスト除去業者を呼んで現場を確認したが、「アスベスト除去業者がみても、正直残っている確認ができなかった」という。取り残しはない、との認識だ。
だが、同日、市はこの間さまざまな助言をしてもらっている、見識ある分析機関からの指摘であることを重要視し、「もう一度ワイヤブラシと真空掃除機で清掃してもらった」と説明する。
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