五輪に備え髪型まで取締り

平昌五輪参加にあたり、金正恩政権は韓国情報の拡がりに予防線を張っていた。昨年末に金正恩氏が直々に「非社会主義」現象との闘いを訴え、資本主義文化の流入阻止と称して、住民の服装や髪形検査を行った。
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労働新聞や朝鮮中央テレビなどを調べたところ、北朝鮮当局は、五輪について韓国の街中のことや競技についてほとんど報じていない。北五輪期間中、ずっと北朝鮮内部の取材パートナーに五輪への感想を聞いてきたが、平昌五輪にはまったく関心を示さなかった。
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宿舎のテレビも見られない選手と応援団

「海外に派遣された選手たちが部屋でテレビを見ないように、同行する監視要員がホテル側にアンテナ接続を外させます。選手団は全員一緒に行動するのが原則で、一人では外出することはおろか、ホテル、宿舎内をうろつくことも許されない」

北朝鮮の体育界で指導的立場にあった脱北者の男性にこのように述べる。

昨年夏、私は中国で北朝鮮レストランで働く女性従業員たちを取材したが、出退勤は隊列を組んで移動、中国の放送が見られないよう、食堂の中のテレビには北朝鮮のコンテンツしか映らない機器が繋がれていた。

中国であっても、出国者にはこのような統制が課される。まして敵国であり言葉が通じる韓国で過ごすのだ。北朝鮮から来た500人には多くの監視要員が付いて、宿舎や選手村では集団行動を徹底されていたことは想像に難くない。目的ははっきりしている。韓国人と触れ合わせない、韓国のコンテンツに接触させないためだ。

金正恩氏は、与正氏から、平昌五輪と韓国の実際について直接報告を受けたはずだ。与正氏の話を聞いた金正恩氏は恐怖したのではないか。人民が、韓国の人と情報に接触するのは極めて危険だと。(石丸次郎)

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