1月20日に始まったトルコ軍とシリア武装諸派によるシリア・アフリンへの軍事作戦。砲撃やトルコ軍機の空爆で子どもを含む市民にも死傷者があいついでいる。写真はアフリン市内の病院で。負傷した子ども。(1月31日地元記者撮影)

◆トルコ境界線の村落部ほぼ制圧、住民に不安広がる

トルコ軍と自由シリア軍系などの武装諸派はシリア北西部アフリンで軍事作戦を展開、クルド組織・人民防衛隊(YPG)との戦闘は45日におよんでいる。空爆や砲撃によって住民にも死傷者があいついでいる。(玉本英子・アジアプレス)

トルコ軍は、クルド勢力・人民防衛隊(YPG)と民主統一党(PYD)をテロ組織とし、アフリン一帯から脅威を排除するとして「オリーブの枝作戦」を1月20日に開始。トルコ軍とその支援を受けた自由シリア軍系など武装諸派がトルコ側から越境し、アフリン近郊部をとり囲むように進撃した。現在もYPGと激しい戦闘が続いているが、これまでに境界線一帯の村落部地域をほぼ制圧した。

砲撃やトルコ軍機の空爆では、市民にも犠牲が出ている。3月7日、アフリン保健委員会はこれまでの死者は227名(うち子ども32名)、負傷者は651名とする統計を発表した。

トルコ軍とその支援を受けた自由シリア軍系武装諸派はトルコ側から越境し、アフリン近郊部をとり囲むように進撃。写真は作戦に参加する自由シリア軍系組織。(2018年1月末・自由シリア軍系ヌフベ軍団公表映像)

◆電波塔損傷、携帯電話など通信ストップ

また、建物にも被害が出ている。携帯電話の電波塔も損傷を受けたとみられ、昨日からアフリンでは広範囲の地域で携帯電話が使えなくなっている。

市内の商店従業員、スワールさん(28)は携帯電話の電波が通じる郊外へ移動しなければならないという。

「電話が使えなくなったため何が起きているのか分からず、住民は混乱している。数キロ先にいる武装諸派が市内に攻め込んでくるという話もあり、皆、不安と恐怖のなかにいる」と伝えてきた。

アフリン近郊部を制圧した武装組織は宣伝映像を公開し、「テロ組織から解放された地域の住民は手厚く処遇している」としている。住民の大半はこうした宣伝を信用せず、周辺の村落部では土地と家を放棄して市内に避難する人たちも少なくない。

次のページ:「もし生きていたらまた連絡します」...

★新着記事