◆店のシャッターに「ヤズディ」と書き、焼き討ちに
屋根は崩れ落ち、シャッターはひしゃげている。シャッターにはスプレーで文字が書きなぐってあった。
「スンニ」「ヤズディ」「ヤズディ」「スンニ」…
ISはイスラム教スンニ派とヤズディ教徒の商店を区別し、ヤズディの店に火をつけるなどして破壊していた。
どの店がヤズディ教徒なのか、それを教えたのは地元の住民という。銃で脅され、ISに協力させられたイスラム教徒も少なくない、と地元住民は言った。ISの前で拒否できるはずもない。町のイスラム教徒も犠牲者だった。だがヤズディ住民のあいだには、「これまで一緒に暮らしてきたはずの隣人に裏切られた」という感情を抱き始めていた。
「たとえ町に戻れても、もう彼ら(イスラム教徒)を信じることができなくなってしまった」
ミルザは複雑な思いを打ち明けた。ISのシンジャル襲撃は、町を破壊しただけでなく、これまでと、もに隣人として暮らしてきた人びとの関係まで壊していた。
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