不安な日々のなか、ノビラスは精神的に限界をきたすようになっていた。そして2016年12月、末娘を連れて、イラクからトルコを経由して、密航船でドイツを目指した。10日かけてドイツにたどり着き、難民申請。
イラクに残ったハッサンは、親戚や知人からお金をかき集め、身代金を用意。男らが再度、接触してきた際に、身代金を払って、次男はシリアで解放された。
しかし、次男が見せた姿は、父には信じられないものだった。
次男は「ISのおじさんのもとに帰りたい」と話し、父との会話を拒んだ。私には笑顔で接してくれた次男だが、ドイツの難民滞在施設から電話をかけてきた母ノビラスとも、話したがらなかった。ISの拉致生活のなかで、次男は心に大きな傷を負っていた。
三男と長女の行方はいまもわかっていない。
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