◆「記録し解体時に除去」
2017年3~4月、大阪府堺市の北部地域整備課事務所で実施された煙突内のアスベスト除去工事が不適正だったとの疑惑を指摘した報告書を改ざん指示したのは“隠ぺい”が目的だった──。市は否定してきたが、それを裏付ける証言が明らかになった。(アジアプレス/井部正之)
「こんなにもめるなんて思わなかった」
元請け業者から現場のアスベスト濃度測定などを依頼された分析機関の社長はこう嘆く。
4月9日と同27日、被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会堺対策チームらが実施した堺市との意見交換で元請け業者や下請けのアスベスト除去業者、分析機関から施工時の状況を聞いた。上記の発言はその際のものだ。
分析機関は2017年4月11日、除去工事後の煙突内を見て、アスベストの取り残しがあることを市に対して指摘した。翌12日、市は元請けに命じて、現場を「清掃」させた。
この「清掃」作業は4月12日午前8時半から同11時までの2時間半で、「白い(塊状の)ダマを4つか5つ、ワイヤブラシと真空掃除機で清掃した」(澤中部長)という。なお、市側はそれらがアスベスト含有ではないと主張しているが、根拠はない。
ところが、この「清掃」作業も不十分だったとみられる。分析機関の社長らが2017年4月15日に現場を再確認し、再び取り残しがあると指摘したのである。分析機関の社長はこう明かす。
「(2017年)4月15日に測定で(現地に)行った際、(煙突内をみた後で元請け業者の担当者から)12日に『ワイヤブラシでこすってみがいたよ』と聞いて、『まだ残ってますよ』といったんですね。『上のほう入れないでしょ』といったら、『手の届く範囲はやった。これ以上取れないよ』というので、『あれは残っているから一生懸命やったほうがいい』と伝えた」
さらにこう証言するのだ。
「市の担当者にも(取り残しを指摘し)『改めて業者を呼んでしっかりとったほうがいい』といったら、『残っているということで記録を残してふたをします。次に解体するときにしっかり除去しますから』といっていた」
当時の係長は「そんなこと1つも聞いてない」と反論。
分析機関の社長は「私はそう聞いたんで、もめることじゃないと思っていた。解体のときにはもう一回除去しますからと。こんなことになってびっくりしている」と感想を述べた。
分析機関は市側でアスベストの取り残しについて、何らかの報告を残しているとばかり思っていたという。
分析機関の社長はアスベストの取り残しについて「記録に残す」と発言した市職員の名前も覚えていた。4月27日市は「担当者に確認したが、当時そんな話は受けてないといってまして。上司にも報告がなかった」と否定した。
この間市側は2017年4月15日には分析機関から報告を受けていないと主張している。市は報告書に記載された同日の記録を同5月中旬に見て、初めて「清掃」後の取り残しの指摘を知ったとしており、「なぜその場で教えてくれなかったのか」などと分析機関を責めるような発言を繰り返してきた。
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