2017年3月のアスベスト除去工事前の煙突を上から見下ろす(情報公開で入手)

◆事実確認を避ける市の姿勢

市側の対応が明らかにおかしいのは、市は少なくとも20175月中旬には煙突内のアスベストの取り残しについて報告書の記述から知っていた。ところが、市はこの記述について分析機関に対して事実確認をしてこなかった。

 その一方で、元請け業者に指示して報告書からこの取り残しの記述を含む計34ページを削除させた。その意味するところは1つしかない。

 報告書の改ざんを見つけた「家族の会」の古川さんは「話を聞けば聞くほど、市が都合の悪い書類を隠したという結論になる」と指摘した。

 堺市の報告書改ざんがアスベストの取り残しの“隠ぺい”を目的としていたとしか考えられない。そして、書類送検までされた違法工事後の現場の片付けという絶対に失敗してはならない工事でさえ、こうした手抜きをする市の体質の問題が透けてみえる。

 分析機関の社長はこう呆れていた。

 「現場で市の担当者に『白く残っているのがアスベストですよ。繊維まで見られるでしょ』と言った。アスベストじゃないというのであれば、それを採取して分析するなりして確認できたのに、現場ではそうは見えないとか一言もいわないんですよ。わからないならなんでそういってくれなかったんですか」

 採取して分析すればはっきりするのだから、わからないのなら分析すればよい。当たり前のことだ。そうした対応をせず、アスベストがないと勝手に判断した。明らかに市側の不手際といわざるを得ない。

 堺市そうした不手際を認めず、責任逃れや“隠ぺい”ばかり続けている。まもなく煙突内にアスベストが残っているかどうかの再検査が実施されるはずだが、その結果も都合が悪ければ隠ぺいしかねない。

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