◆朝鮮籍の人も里帰り
済州島は大阪に暮らす多くの在日コリアンのルーツがある島。日本の植民地統治下、大阪との定期航路があったことが大きい。
今回の「70周年慰霊の旅」には、9人の「朝鮮籍」の在日の人たちが参加した。通常、韓国への入国は認められない。今回は、4.3事件から70周年という節目の年ということで遺族会の呉光現(オ・クァンヒョン)会長が奔走し、韓国政府から臨時パスポートを出してもらったという。
両親が済州島出身だという金玉順(キム・オクスン)さんは「済州島への里帰りを半ば諦めていた」という。「今回、朝鮮籍でも行けると知り、里帰りのチャンスがめぐってきたと申し込みました」。
金さんは終戦後、民族の言葉と歴史を学ぶため、朝鮮学校に通っていた。だが、中学1年の時に朝鮮学校への弾圧事件「阪神教育闘争」で学校が閉鎖、日本の学校へ通う。4.3事件では、父のいとこが巻き込まれ、今も行方不明だという。
「私にとって最初で最後の里帰りでした。心の中におりのようにたまっていたものが解けていく感じでした」と話す金さんは、今回のツアーをこんな言葉で締めくくった。
「文大統領の『済州島に春が来ています』という言葉が心に残りました。参加できてすごく幸せでした。南北会談で融和ムードが広がり、もう一度、訪ねることができれば幸せなのですが……」
(終わり)
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