4月27日に板門店(パンムンジョム)で行われた韓国と北朝鮮の首脳会談は世界に生中継された。唯一見ることが許されなかったのが、当の北朝鮮である。板門店会談の映像が約33分間に編集されて放送されたのは翌28日の夜。北朝鮮の庶民は、歴史的な金正恩―文在寅の対面をどう受け取ったのか。29日に、2児の母である女性に電話でインタビューした。(石丸次郎)
◆声出して泣く人も
ここは祝日のような雰囲気ですよ。市場でも道を歩いていても、首脳会談の話で持ちきりです。すぐにでも統一されるんじゃないか、これで暮らしも良くなるだろうと喜んでいる人が多いです。今日ぐらいはおいしい物を食べようと、市場で豚肉が飛ぶように売れていました。
この一カ月間、電気が1日に5分も来ていないのに、突然、テレビを見ろと、ニュースの時間に合わせて2時間電気が通りました。近隣のおばさんたちが私の家に集まってきたので一緒に見ました。金正恩元帥が、あの危険な板門店を越えて(南側に)入ると、おばさんたちは声を出して泣いていましたね。
関連記事:<北朝鮮内部>電力供給がさらに悪化 1秒も来ない「絶電地域」広がる
私も、文在寅大統領と手を握った時は、ああ、民族の血は争えないんだと思いました。あなたから「核開発のために制裁を受けている」と聞いていたし、他の人ほどではありませんが、胸にじんと来るものがありましたよ。(晩さん会で)夫人たちも一緒にご飯を食べながら会話している姿は一つの家族のようで良かったです。うまくいくといいですね。
――文在寅大統領に対する評価はどうですか?
ほとんど何も知らされていないのでよく分かりません。とにかく会談したのだからいい人なのでしょうね。朴槿恵(パク・クネ)前大統領は悪いやつだと聞かされていましたが。
次のページ:韓国に助けてほしい...