◆「残存が極小」と市は強調
大阪府堺市が2017年に実施した煙突内のアスベスト除去工事が不適正だった問題をめぐり6月12日の市議会で複数の議員が追及した。(井部正之・アジアプレス)
堺市では2017年3~4月、市の北部地域整備事務所内や煙突に残されたアスベストを除去する工事を実施したが、煙突内にアスベストが残存しているとの疑惑が発覚。市は否定し続けたが、5月27日、建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)に所属する専門家の調査によって事実であると裏付けられた。
6月6日付けの中間報告は煙突内の横引き煙道にアスベストを含有した「断熱材の小片や小塊が残存」すると指摘した。また煙突内側には「筋状(縞状)」に取り残しが確認され、そこでは「アスベスト繊維(アモサイト)が目視でも確認された」と報告した。これらは検体を採取した分析でも裏付けている。そうした状況から中間報告は2017年の除去工事は「粗い仕事」と結論づけた。
今回の堺市議会ではこの中間報告について初めて取り上げられた。
同12日の市議会本会議で複数の市議からアスベスト残存について問われた市建築都市局の窪園伸一局長は「煙突用アスベスト断熱材の大部分は除却できており、残存部分は極小でいずれも十分に飛散防止剤が塗布されていることから飛散する状態ではない」と強調した。
長谷川俊英市議は、この問題は測定を実施した業者がアスベストの取り残しを指摘し、報告書に記載していたにもかかわらず、市が報告書を改ざんさせ、当該ページを削除させた経緯を説明。そのうえで、同協会による中間報告で「粗い仕事」とも記載されていることに触れ、市に対して見解を尋ねた。
窪園局長は「残存は極小」と再び回答。
長谷川市議が「市は横引き煙道など想定していなかった。反省がまったくされていない」と批判すると、窪園局長は「横引きの煙道は想定してございませんでした。担当職員、施工業者が目視において、ないと判断して工事を終えたところでございますけども、その点につきまして、今回調査で改めて取り残しがあったこと、とくに煙道部分については、小片とか小塊があったことにつきましては、深く反省したい」と釈明した。
さらに長谷川市議は3月に市議会で、アスベスト除去後に工事が適正だったかを確認する「完了検査」について独自の基準や対応をすべきと指摘した件を改めて聞いた。