◆完了検査のありかた不透明
市危機管理課は「完了検査のあり方が課題」と認めるが、環境省の中央環境審議会でも課題の1つとされていることから、「まずはアスベスト対策全般にかかわる市職員のスキルアップに取り組むこととし、さらに国の動向もふまえて、より確実な工事の品質確保にむけて引き続き検討を続けてまいりたい」と独自の対策に消極的な姿勢だった。
長谷川市議は「国の対応を待っていたら遅い」といま現在の問題であることを強調。竹山修身市長に「法令の遵守も含めて(独自の)体制をつくっていただきたい」と求めた。
また共産党市議団の岡井勤市議もこの問題を取り上げ、「除去現場においては、最後は飛散防止剤を塗布するのだからそれでよしということになっているのではないか」との危惧を表明。
そのうえで「したがって全国の除去作業においては、作業の精度に差が生じているのではないでしょうか」と全国的な問題である可能性を指摘した。
そして、その場合には「国において除去作業のマニュアルをもっと厳密にしていただくことが重要ですし、このことを国に求めていただきたい」と注文を付けた。
市がアスベスト対策に関連した資格者について、建物のアスベスト建材を調べるための唯一の公的資格である「建築物石綿含有建材調査者」が2人おり、アスベスト除去などの作業時の飛散・曝露防止をするための「石綿作業主任者」が5人いることを説明。今年度にも講習を受ける予定であることを明かした。
岡井市議は経験部族による未熟さが否めないとして、本来なら今回の問題も防げたはずだとして、今後の方針を質した。
窪園局長は今回の調査を実施した協会と職員向けの講習について「現在具体的に協議しているところです。こうした研修を通じて職員のスキルアップに努めてまいります」と答えた。
岡井市議は「資格を取得された職員には、あらゆる機会を通じて短期のうちに目と技量を高める努力をしていただけますよう強くお願いしておきたい」と注文を付けた。
また岡井市議は問題となっている同事務所の煙突のある機械室について、地域で不安の声が出ているとして、「思い切って撤去されるべきではないか」と持論を述べた。
堺市では2016年6月、市の北部地域整備事務所の改修工事を実施したが、屋上にアスベストを70~80%と高濃度に含有する断熱材が使用されていたにもかかわらず、法で定められた対策なしに解体。周辺にアスベストを飛散させた。同市は大気汚染防止法に基づき、アスベスト除去工事の監視・指導を担う政令市であったことから「事業者らに示しがつかない」として大阪府警に同法違反で書類送検された(2017年3月不起訴処分)。