北朝鮮国内で不人気だった金正恩氏に対する評価が今年に入り一変している。中国、韓国の首脳との立て続けの会談を経て、経済回復や変化を期待する人が増えているのだ。12日のトランプ米大統領との会談を前に、金正恩氏の評判について調べた。(カン・ジウォン)
庶民から幹部まで、北朝鮮の人々の金正恩氏に対する評価は芳しくなかった。若造、国一番のデブ、叔父の張成沢を殺した不道徳者、金一族のことしか考えない落第指導者…。このように、金正恩氏を悪し様に罵る人も多い。
執政した6年間、核・ミサイル開発以外に実績らしきものはなく、むしろ強い制裁を科されて経済は窮し、金正恩政権に対する住民の不満の声は高まる一方だった。その評価が一変したのは、去る4月27日の文在寅大統領との首脳会談からである。北部の咸鏡北道に住む取材協力者は次のように分析する。
「日頃から金正恩氏の三代世襲に批判的な意見を口にする人たちでさえ、中国、韓国に続いてトランプ米大統領と会談を行うことを歓迎している。制裁で経済が非常に悪くなったが、金正恩なりに人民の生活苦を心配し外交努力をしていると見えるのだろう。金正恩が3月と5月にたて続けて中国の習近平主席を訪ねたのは、経済制裁を緩めてくださいと頼むためだったと考える住民も多く、有り難いと思っている人さえいる」
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