◆中国政府とUNHCRの見解
中国に逃れて潜伏している北朝鮮人のほとんどは、「母国に戻ると迫害を受けるおそれがあり、庇護を必要とする人々」であり、難民だと規定されなければならないと私は考えている。しかるに、5万~10万、あるいはそれ以上の北朝鮮難民を指して、中国政府は、
「中朝間に難民問題は存在しない」「経済難から国境を越えたごく少数の朝鮮の不法越境者がいる」(2001年6月、外交部報道官声明など)
という立場を崩していない。中国は南北朝鮮間で複雑な立場に立たされているとはいえ、国際的にはもはや通用しない言い草である。しかも中国は難民条約加入国なのだ。
UNHCRの公式の立場を述べておこう。ジュネーブ本部の見解は、「北朝鮮から中国に脱出してきた人のなかに庇護の対象となる難民と認められるべき人が存在する」であり、「しかし、UNHCRの度重なる要請にもかかわらず、中国当局は現地調査と対象者との接触を認めない」「中国に越境してきた北朝鮮人の大部分は難民」(「グローバルリポート2001」など)である。
付け加えれば、中国からタイやロシアなどの第三国に出国した北朝鮮の人々のほぼすべてを、UNHCRは難民認定している。(続きを読む>>)