◆サッカー選手やスタジアムもISの標的に
盛り上がりを見せるサッカー・ワールドカップ。イラクやシリアの子どもたちの一番の人気スポーツは何といってもサッカーだ。
「どのチームが好き?」と聞くと、「僕はレアル・マドリード」「断然、FCバルセロナさ」と各国のチーム名がいくつも挙がる。
いまからちょうど4年前、ワールドカップのブラジル大会が開かれていた頃、イラクとシリアでは過激派組織イスラム国(IS)が急拡大していた。
2014年6月、ISはイラク第2の都市モスルを制圧し、「国家」樹立を宣言。8月にはシンジャルのヤズディ教徒を襲撃し、大量虐殺と女性拉致が起きる。9月にはシリア・コバニの総攻撃を開始した。
当時、イラクやシリアの知人、友人たちがネットで発信したいくつもの悲鳴。
「どこにも逃げる場所がない」「親戚が殺された・・・」
ワールドカップに世界が沸くなか、数十万の人びとが家族や土地を失い、悲しみのどん底にあった。
サッカーもまた戦争に巻き込まれてきた。多数の人が集まるサッカーの試合は、ISの標的となった。
2015年、フランス・パリで起きたISによる連続襲撃事件では、オランド大統領とドイツ外相も観戦する仏独サッカーの試合中のスタジアムが狙われ、入口近くで自爆テロが起きた。
2016年にはバグダッド南部の町でアマチュア・サッカーの試合で自爆攻撃があり、30人が死亡。ISの自爆犯はまだ10代とみられる少年だった。
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