◆NGOの大規模現地調査の衝撃
韓国の仏教系NGO「よき仲間たち」は、朝中国境地帯で97年9月から98年10月まで、実に1855人の北朝鮮難民と対面調査をして「北朝鮮食糧難の実態」という報告書をまとめた。
自分の身内や居住地で95年以降亡くなった人の数と、その原因を問うという形式だ。「よき仲間たち」はその報告書で、幹部や軍人、治安機関員等を除いた95年8月以降の死亡率が29.5パーセント、北朝鮮全体で最低350万人以上が死亡したと推測している。
「よき仲間たち」の調査概要
・調査機関 韓国社団法人「よき仲間たち」(旧名・民族相互助け合い仏教運動本部)
・調査期間 1997年9月30日より1998年10月29日
・調査場所 中国吉林省
・調査対象、方法 中国に越境した北朝鮮人1855人(男952人―女903人)に面談調査
・調査内容 インタビュー対象者の性別、年齢別、地域別、職業別分類。インタビュー対象者の家族の性別、年齢別、地域別、職業別分類、および家族のうちの死亡者の性別、年齢別、地域別、職業別分類と死亡年月、原因など(注:家族の総数は10127人)
・調査の限界 一般的に使用される調査技法と比較して、この報告書が根拠とする調査はいくつかの限界を抱えている。
○標本抽出にあって無作為の原則を守ることが不可能な状況だったこと。北朝鮮難民中、接触が可能な人たちにしか調査ができず、この標本の母集団への接近に一定の限界があった。
○上記のため北朝鮮住民全体に比べて、統計処理された標本の地域的偏在、職業的偏在、年齢別偏在が不可避であった。
(表の出典=韓国社団法人「よき仲間たち」編「人間らしく生きたいね」ジョント出版、1999年、石丸訳注)
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