◆複数の事業者に違反誘発も
さらにアスベストがコンクリートなどに残存していた場合、建物の解体後にリサイクルされるため、販売業者が新たなアスベストの使用を禁止した安衛法違反を問われることになろう。また、廃棄物中間処理施設における破砕の際、周辺に飛散することも考えられる。この場合も中間処理施設が廃棄物処理法(廃掃法)の作業基準違反を問われる可能性がある。
このように、仮にアスベストの残存が少ないとしても、施工業者は石綿則違反を問われる可能性があるし、破砕処理をおこなうリサイクル施設や再生砕石の販売会社などにも廃掃法・安衛法の違反を引き起こす可能性があるのだ。
だからこそかねて上流側での徹底した除去が必要として、解体前に適正に除去することが求められてきたのである。仮に「極小」だろうと、2017年3~4月のアスベスト除去が明らかに不適正だったことは間違いない。
堺市はアスベストの取り残しについて分析機関からの報告書から削除するよう改ざんさせて隠ぺいした(市は隠ぺいを否定)。被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の前会長で堺市民の古川和子さんら「家族の会」堺対策チームから指摘を受けても「工事は適正」「取り残しはない」と強弁してきた。
市側の主張がことごとく覆ったのが現状なのだが、堺市はこの間の行政対応の検証や不適正工事の原因究明についてどのように実施するのかいまだに明確な回答をしていない。
古川さんは「煙突1本の問題ではない」とほかの解体・改修工事についても検証するよう求めているが、市はどのような対応をするのか。
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