2016年6月の違法工事以降、2017年3~4月の現場を片付ける除去工事では工事後にアスベスト残存を示す報告書の改ざんや隠ぺいが今年になって露見。さらには新たなアスベストの飛散まで発覚した。(井部正之・アジアプレス)
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◆懇話会委員すら「初めてみた」
大阪府堺市で2016年6月の違法工事だけでなく、2017年3~4月の除去工事でも周辺にアスベストを飛散させていた──。
こんな測定結果が1年4か月も後の8月9日、堺市北部地域整備事務所アスベスト飛散の検証に関する懇話会(座長:東賢一・近畿大学医学部准教授)で初めて公表された。これまで同3~4月の除去工事で「アスベストの飛散はない」と市は説明してきたが、その主張に反する資料が存在していたことになる。
市の説明によれば、2017年3月29日、同事務所機械室棟屋上の隔離養生内でアスベストの飛散防止剤を噴霧したり、外壁改修の準備をしていた際に敷地境界の隣接する保育園側で1か所、空気1リットルあたり0.056本と微量のアモサイト(茶石綿)を検出した。翌30日に隣接する保育園園庭でも測定したところ、空気1リットルあたり3.1本のアモサイトを検出したという。
市は調査結果について、隣接する保育園の関係者と地元自治会には飛散を把握してすぐに説明したと釈明。だが、一般に公表されたのはアスベストの飛散から1年4か月あまりが経ったこの日の会合が初めてのことだ。
今回アスベストの飛散が公表された市懇話会は、2016年6月の違法工事による周辺住民らのアスベスト曝露についてリスク評価を行うため同10月に設置されたもの。8月9日の第7回会合はその結果を報告するものだった。
2016年6月の飛散事故について、もっとも曝露を多くみてもアスベストによって増加する「発がんリスクは100万分の1を下回っていた」として、健康リスクの増加は「無視しうるレベルと判断される」との評価結果を公表した。
ところが、今回明らかになった2017年3月30日のアスベスト飛散について、東座長は「最近把握したばかりで健康リスク評価に入ってない」と不満げに説明した。この日出席した委員2人も測定結果を「初めてみた」と驚きの声を上げた。