(参考写真)平壌市郊外にあるサムドゥン刑務所の外景。内部ではセメント生産に従事させられているといわれる。2009年8月に撮影キム・ドンチョル(アジアプレス)

 

◆減刑3年の措置

99日に北朝鮮建国70年を迎えるにあたり、金正恩政権は「大赦」(特赦)を実施すると発表していたが、8月初旬から、各地で続々と服役者が釈放されていることが分かった。金正恩政権による大赦は3年ぶり3度目。(カン・ジウォン/ 石丸次郎)
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北朝鮮各地の取材協力者によると、この度の特赦は「刑期を3年減ずる措置」で、懲役3年以下の受刑者と、残り刑期が3年以下の刑事犯が釈放される。政治犯は含まれないという。

咸鏡北道の取材協力者は次のように言う。

「会寧(フェリョン)市では、86日に釈放第一陣2030名が釈放されて戻されてきた。教化所(刑務所)内部の実態を話さない、再び罪を犯さないという誓約書を書かされ元の居住地に戻っている」

釈放された人々の家族はもちろん大喜びなのだが、出所者の処遇と管理で混乱が生じているという。まず第一に、劣悪な教化所生活のせいで、皆、体がボロボロの状態で出所してくるのだそうだ。

◆栄養失調でボロボロ状態

「出所者のほとんどが栄養失調状態。党(金正恩氏)の配慮によって出てきたのだから、面倒を見よと指示があって、企業の労働者や出所者の近隣住民にコメやトウモロコシを出すよう求めている。保安(警察)が、出所者たちを職場に配置しようとするのだが、体がやられていて働くどころではなく、しばらく養生させるしかない状態だ」という。

教化所など北朝鮮の拘禁施設が劣悪なことは、国連や韓国の研究機関の調査でも明らかだ。わずかな食事できつい仕事を科すため栄養失調が蔓延、また、狭い監房に大人数が収容されるため、感染症を発生するケースが多い。

2年前に咸鏡北道の12号教化所(通称チョンゴリ教化所)を出所した女性は、

「飢えと病気で毎日死人が出ていました。死体は囚人にリヤカーで運ばせて山で焼いて埋める。監房は寝返りもうてないほどぎゅうぎゅう詰めでした。結核が蔓延していた」

と、アジアプレスに伝えている。

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