「多くの国が、イスラエルが悪い人で、パレスチナがよい人だと思っているかも知れません。でもそんなに簡単なものではありません。イスラエルも長い間苦しんでいますし、多くのイスラエル人が紛争やロケット攻撃などのない状況に暮らしたことがありません。だから簡単に「OK、イスラエルが問題を解決すべき」と言えません。私個人の意見ですが、ユダヤ人にとって一番いいのは、二国家に分けることです。今はこれが唯一の解決策だと思います。私はイスラエル人としての立場が分かりますし、パレスチナ人にとっての厳しさも理解できます。互いを信頼することがとても難しいのです。戦争に、そしてたくさんの悪いことを長い歴史の中に持っていますから。だからお互いを信頼することが本当に難しいのです」
ドリートさんの母親は彼女の子どもの頃、「お前が18歳になるまでに平和になって軍がなくなり、兵役に行かずにすむことを願っている」とよく言っていたという。
「これは、私が自分の子ども、みんなの子どもの将来について願うことでもあります。平和になって、兵役がなくなる。実現するのはとても難しいことですが」と彼女は最後に言った。
■イスラエルとパレスチナ■
1947年に国連は、パレスチナの土地に、アラブとユダヤの2つの国家をつくるという分割決議案を採択する。1948年、ユダヤ側はイスラエルを建国。それをうけ第一次中東戦争が起こり、70万人以上のパレスチナ難民が生まれた。2018年はイスラエルにとっては建国70年であり、同時にパレスチナでは故郷を失い、難民という苦難が始まって70年となる。
2017年12月6日、トランプ米大統領はエルサレムをイスラエルの首都として正式に認め、イスラエルの建国70年に合わせて、2018年5月14日にアメリカ大使館をエルサレムに移転し、開設式典が行われた。一方、同じ日にイスラエルとガザ地区の境界で抗議するパレスチナ人たちに、イスラエル軍は実弾や催涙ガス弾を発射し、1日でおよそ60人のパレスチナ人が死亡した。