◆取り上げられるための農業

9月に入り、北朝鮮各地に新しい「布告」が発せられたようである。(布告=厳格な取り締まり・統制を予告する告示のこと)

詳細は調査中であるが、秋の収穫期を迎え、協同農場からコメやトウモロシを流出させる行為を厳罰に処す、という内容のようだ。

約100万人の軍隊や平壌市民、警察、党、行政の役人向けの配給食糧は、そのほとんどが協同農場で生産される。これら「体制の要」を食べさせるために、各農場には厳格な供出ノルマが課せられる。農場員たちは、「取り上げられる」前に、収穫を隠匿して都市に売ろうとする。それを厳しく禁じる処置だ。
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北朝鮮も今夏は猛暑で、農作物に干ばつ被害が出ている。「トウモロコシが立ち枯れした畑が多い」と各地の取材協力者は伝える。

権力機関や平壌向けの穀物が不足することがないよう、早くも農民から生産物を収奪する準備が始まったようだ。(ユ・ミンテ)

町はずれの路地で近隣の農民が野菜やウサギなどの家畜(右上の籠の中)を売っている。2008年10月に平壌市郊外で撮影チャン・ジョンギル(アジアプレス)

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