◆これからどうなるのか… 恐れと不安 おびえる住民
今年に入り、シリア政府軍は各地の反体制派拠点地域を次々と制圧してきた。ダマスカス郊外東グータや南部ダルアーが激しい戦闘ののち陥落し、反体制派にとってイドリブは「最後の砦」でもある。そこに政府軍やロシア軍の総攻撃が迫りつつある。イドリブ県南部、ハーンシェイフンで取材活動を続けるシリア人記者、ジャベール・アル・バクリ氏(29歳)にネット電話を通して聞いた。(聞き手:玉本英子・アジアプレス)
◇イドリブで日本人記者(安田純平さん)が拘束され、一部でフッラース・ディンという組織の名前も報じられています。聞いたことはありますか?
ジャベール・アル・バクリ氏:
聞いたことはないです。拘束しているのがフッラース・ディンであれば、南部地域にはいないはずです。そのグループは西部のジスル・アッ・シャグールなどにいるといわれます。シャム解放機構(旧ヌスラ戦線)から分派した組織ですが、今、シャム解放機構が、フッラース・ディンを叩こうとしていると聞いています。
◇政府軍の攻撃が迫っているといわれますが、住民の反応は?
ジャベール・アル・バクリ氏:
住民は、砲撃や空爆など、あらゆる攻撃にさらされてきました。行政庁舎や主要な建物などが破壊され、死傷者があいついでいます。とくに県東部では多くの人が亡くなりました。
大規模な攻撃が始まるという話は、地元の人たちも知っています。さまざまな声がありますが、ほとんどの住民は今後どうなるのか、恐れと不安でいっぱいです。シリア政府軍だけではなく、イラン、レバノン、イエメンなどからの民兵が攻撃の準備をしているという話も出ています。
すでに県民のおよそ半分がトルコとシリア国境付近にある避難民テントなどへ移動したともいわれています。町に残った者は、退避壕を掘っています。しかし、ロシア軍の戦闘機が破壊すれば、住民たちは簡単に死んでしまうでしょう。
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