10月18日、環境省がアスベスト規制の強化について検討する専門家会議を4年ぶりに公開で開催した際、委員から「非公開検討会の報告書を公表せよ」と意見が出された。しかし環境省はこれを拒んでいる(井部正之/アジアプレス)
◆委員にも報告書「非公開」
報告書開示を求める声が上がったのは石綿飛散防止小委員会の第1回会合だ。
東京労働安全衛生センターの外山尚紀委員は、過去に非公開で実施してきた専門家による検討会が存在するとして、こう要望した。
「昨年度、石綿飛散防止対策等調査検討会が非公開で開催されていますが、報告書も非公開になっています。昨年の委員会で検討されたことが本委員会でも検討することになっており、(報告書が)一定の方向性を与えている。参加してないかたもいらっしゃるので、報告書は公開していただきたい」
同省が今回の小委員会を開催したのは、2013年5月に改正した大気汚染防止法(大防法)において、2014年6月の施行から5年で規制を見直すことが定められていたためだ。
「非公開」検討会をめぐる問題の発端は、同省が2012年6月から開催していた中央環境審議会(中環審)・石綿飛散防止専門委員会におけるアスベスト規制の強化である。同委員会は2013年2月に中間答申を提出。これを受けて前出の大防法改正がおこなわれた。
しかし、この時の規制強化は、吹き付けアスベストなどの除去工事の届け出義務者を施工業者から発注者に変更するなどの軽微なもので抜本改正にはほど遠い。そのため、中間答申で指摘された事前調査・分析の信頼性確保や罰則強化、完了検査の導入など多くの課題は積み残しのままとなっていた。そのため、同省は2013年度以降も検討を継続してきた。
ところが、2014年7月、中間答申から3回目となる会合を最後に同委員会は開かれなくなった。残された課題を検討している最中だったにもかかわらず、である。
当時の委員の1人によれば、「とくに環境省から休止や終了の説明もなく、連絡がなくなった」という。