◆公的補助に代わって

朝鮮学校がある自治体では補助金を支給していたが、大阪をはじめ各地で見直しの動きが相次いだ。学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市)に補助を実施していた府では、2011年度分からの補助金支給を打ち切り、市も同調した。校舎補修のための公的支援はなく、自分たちで寄付を集めるしかないが、ほかの外国人学校に認められている寄付への税制上の優遇措置も、朝鮮学校にはない。

そんな中で、市職員組合や解放同盟、人権ネットワーク、さらには周辺の小中学校、幼稚園や保育園などから浄財が寄せられた。10月16日には東京の85歳の女性から現金書留が届いた。寄付金とともに添えられた手紙にはこう書かれていた。

『どの国の人であれ、困っている人を助けるのは当たり前。どの国の子どもも世界の宝』

ヘイトスピーチを危惧しながら日本人の善意に触れた高校長は「視野が広がった」と振り返る。

「この学校に通う子どもたちをりっぱな朝鮮人に育てる。地域に貢献できる人材に育成するというこれまでの思いをより一層強くしました」

(終わり)

★新着記事