台風21号の襲来からまもなく2カ月が経とうとしている。強風で校舎の屋根が吹き飛ばされた城北朝鮮初級学校(大阪市旭区)では、業者の人手や資材の不足などで、今も本格的な修繕工事は開始されていない。正常な授業再開までにはまだ時間がかかりそうだ。(矢野宏/新聞うずみ火)

大阪市の城北朝鮮初級学校。台風21号により甚大な被害を受けたが、修繕の目途は立っておらず、吹き飛ばされた屋根には今もブルーシートが(新聞うずみ火)

◆今も教室使えず

9月4日の台風急襲に備え、前日には大阪府下10校の朝鮮学校の休校が決まった。城北朝鮮初級学校では児童65人を送りとどけたあと、男性教師たちが下駄箱や掲示板、自転車などが吹き飛ばされないようロープで結んだり、朝礼台を教室に運んだりして不測の事態に備えた。

台風21号は、4日夕方には関西を通り過ぎたが、各地に大きな爪痕を残した。「校舎の屋根が飛んでいる」という緊急連絡を受け、車で駆けつけた高暢佑(コウ・チャンウ)校長(54)は学校の惨状を目の当たりにして言葉を失った。そして、男性教師や父兄らと一緒に学校の外に飛び散らかっている屋根や倒木などを回収した後、校内の片付けにあたった。

2階建て木造校舎の屋根は、長さ25.5メートル、幅3.6メートルにわたって吹き飛ばされていた。2階には4~6年生の教室があり、天井は雨水を含んで今にも抜け落ちそうな状態で、特に5年生の教室では大きな穴が2カ所も開いていた。2階の教室の床にたまった雨水は1階にも漏れ、幼稚園の教室も水浸し状態だった。

高校長は「これでは子どもたちを迎え入れられない」と、2日間臨時休校にした。

3日後に授業を再開したものの、教室は使える状態ではない。近くの北朝鮮初中級学校(大阪市東淀川区)に交渉し、3年生以下の低学年34人を受け入れてもらうことにした。合同学習は8日から15日まで続き、4年生以上は今も教室を使えないため、音楽室や図書室、理科室などで授業を受けている。

一日も早い改修工事をと高校長は願っているが、「人手がない、材料がないと言われ、修繕にも取り掛かれない状況です」と言う。さらに、高校長の悩ませているのが資金問題だ。

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